煉瓦造りの大きな屋敷は霧だった静かな森の中にある。
街へは人間の徒歩で3時間程。郵便や配達が無い限り、人間が屋敷に訪れる事は無い。
そんな大きな屋敷の2階にある一室を、追放された堕天使ギルベルトの部屋として割り当てられた。
シングルベッドで健やかな睡眠をとるギルベルトは不意に殺気を感じ取り飛び起きた。飛び起きた瞬間、枕にグサッとナイフが深々と突き刺さった。
思考が停止し、あまりの惨劇に頬が引き攣るのは仕方ない。寝起きの頭をようやくフル回転させて状況判断をするが、すぐにギルベルトに声がかかる。
「おや残念。おはようございます。ギルベルト君。今5時15分ですが、貴方寝坊ですよ?」
ベッドの横に和かな笑顔を見せる悪魔がいた。
「お前今残念っつったろ!?笑顔で怖えんだよ!普通に起こせねえのか!」
「はて?随分優しく起こしてあげたつもりなんですがねぇ?…ふむ。普通ですか?私の普通となりますと、熱湯を浴びせるか毒蛇を貴方の身体に這わせるかですが?どちらがお好きで?」
至極真面目な顔で顎に手を当てて首を傾げる悪魔に本日二度目の頬が引き攣った。
悪魔の普通は常人の普通じゃなかった。
「何だよその二択…」
「おや、無駄な遣り取りで1分もドブに捨ててしまいました。今5時16分ですよ?昨日は5時に起床して15分には下に降りて来てくださいとあれ程申し上げましたのに、初日から寝坊とは…良い度胸です」
何処から出したのか、シャキンと三本のナイフが菊の指の隙間から鈍く光っていた。
「ちょっ!?起きるから!マジすんません!」
「分かれば良いのです。早く着替えて降りて来てくださいね。3分も待ってあげますよ?初日ですからね?私優し過ぎですねー」
無表情にそれだけ告げると退室していった。
「3分しか無えっての!やっぱ彼奴悪魔だよ!クソッ!!」
慌てて、昨日支給された白いワイシャツと黒のスーツに着替える。3分以内に降りて行かなければ、あの悪魔に何をされるか分かったものでは無い。
慌てて着替えを終えると2階から1階のフロアに飛び降り、リビングへと足を踏み入れれば、其処には懐中時計を手にした菊が微笑んでいた。
「よろしい。3分以内ですよ」
「ケセセ!もっと褒めて良いんだぜ!」
初めて褒めて貰えたのが嬉しくて胸を張る。他人から褒めて貰えるのは照れ臭くて身体中が歓喜で震えた。
「ですが、1つだけ減点ですよ」
徐ろに菊が歩み寄り、ギルベルトの髪に手を伸ばすと、一房跳ねている寝癖を撫でて直した。
近い顔の距離と寝癖を直す為と分かっていながらも初めて頭を撫でられた感触に、顔中に熱が集まった。
ギルベルトの顔が真っ赤に色付いた事に菊はキョトンとする。
「おや?顔が赤いですよ?寝癖が恥ずかしかったのならば、次からは身嗜みを整えてから部屋を出て来てくださいね」
子供を諭す母親の様にクスリと笑う菊にカァッとまた顔が熱くなる。
「ち、ちげえわ!お前が頭をだな!…その、撫でたり、すっから…」
歯切れ悪く、言葉尻を濁したギルベルトに菊はカラカラと笑い出した。
「おやまあ、随分と初心な方ですね?お可愛らしいこと」
「なっ!てめえ!馬鹿にすんなよ!」
真っ赤な顔で菊に怒鳴るが威力は無い。菊からすれば可愛いだけだ。
「ふふ。さあ、お巫山戯は此処までにして、お仕事の時間ですよ。先ずは朝食を作りましょうか。行きますよ?」
笑いを収めた菊は手をパンパンと叩き、ギルベルトに仕事を伝えると調理場に向けて歩き出した。
クソッ!と煮え切らない頭を切り替えるように頭を振ると、ギルベルトも菊の後を追いかける。


昨日、ギルベルトはヴァルガスファミリーと血の契約を結び、ファミリーの一員として迎え入れられた。
その後ギルベルトには部屋が割り当てられた。部屋は10畳程の個室に、シングルベッドとチェスト、木製の机と椅子、クローゼットのみの簡素な部屋だった。掃除は行き渡っている様で埃1つ見当たらない。部屋の中央で全体を見渡して観察していると、菊からファミリーの契約と仕事についてを聞かされた。
まず血の契約とは、文字通り名前を自らの血で羊皮紙に刻む事だ。だが、その羊皮紙には特殊な呪がかけられており、ファミリーに仇なす者が名を刻むと忽ち灰となって消滅するそうだ。この説明にギルベルトはゾッと肝を冷やした。
直前に説明も無く名前を刻まされたのだ。もし仇なす者も判断された瞬間、ギルベルトは灰になって消滅していた。当然菊に猛抗議する。
「異な事を仰いますね。私達の仕事をお忘れですか?」
「あ?仕事?…あーっと、シマを荒らす奴の粛清?だっけか」
「正解です。そのシマに天使とはいえ、人間で無い者が現れ、私達の話を盗み聞きしていたとなれば、仇なす者として粛清対象となりますよね?しかし貴方には邪気も殺気も無い。私は判断に困りました。そこで、」
ニコニコとまるで天気の話をしているかの様な表情と声音で言うが内容は穏やかでは無い。
言葉を切った菊に思わず生唾をゴクリと飲み込んだ。
「…はっ、それで血の契約に判断を委ねたって事かよ?」
「お利口さんですね?そうです。あの契約で灰になるかを確認したのですよ?しかし、貴方は灰にはならなかった。追放されたという事に信憑性が増しましたね。野良にするぐらいならば、我々の傘下に入って頂く方が良いですからね?見た所貴方の体幹バランスは筋が良い。磨けば素晴らしい戦闘要員となるでしょう」
「…そうかよ」
信用出来るとあの時思った自分を殴りたい。此奴らも立派な魔界の人間だ。利用する事しか頭に無い。仲間だとか家族だとか俺は何を求めようとしていたんだ。
ギルベルト自身を見てくれた訳でもない。ただの都合の良い戦闘員として迎えられたのだ。そう思うとやるせない気持ちと虚しい感情が胸を締め付けた。
ギュッと握り込んだ拳が震える。
その震えた拳に自分の手よりも一回り小さく、白い手袋に覆われた菊の手が触れた。
その手を振り払おうとした時に菊の落ち着き払った声に動きを止める。
「今更とは思われるでしょうが、貴方は此処で私達と共に生きていく事になりました。血の契約の元、貴方は私達の家族となったのです。ファミリーの結束は強いのです。ファミリーとは仲間であり家族です。血の契約書は貴方をファミリーの一員だと認めました。私達ファミリーには貴方の力が必要です。…忘れないで、ギルベルト君の居場所は既に此処なんです」
【家族】【仲間】【居場所】【必要】その単語と菊の柔らかな優しい表情にギルベルトの心は大きく鼓動した。
700年もの間恋い焦がれた、ずっと1人ぼっちだった自分に向けられる事の無かった単語と表情が今、ギルベルトに向けられている。
顔中に熱が集まり、鼻の奥がツンと痛む。更に視界がボヤけて唇はピクリと痙攣した。
菊は苦笑すると、黙って白いハンカチをギルベルトの手に握らせて話を続けた。
「血の契約を結べば、ファミリーを裏切る事は出来ません。ファミリーに忠誠を誓った様なものですからね。裏切りは禁忌です。もしファミリーに仇なせば、その瞬間灰となって消滅します。気を付けてくださいね。契約解除には、刻まれた名前をボスの血で上塗りして消す事で解除となります。
契約約款は〈無差別に人間を殺す可らず〉〈ファミリーを裏切らない〉〈ファミリー内で消滅する程の喧嘩沙汰をしない〉大きく3つですね。覚え易いでしょう?次に仕事ですが、普段は屋敷に従事します。本職はシマを荒らす者の粛清です。この街には人間を求めてモンスターが現れます。大体暗闇に紛れて行動しますので、仕事は夜間から朝方までの間です。粛清したモンスターの身体の一部を街の長に渡して歩合の報酬を得ます。それとは別に毎月護衛費も得ますね。依頼が無ければ基本的に粛清対象となりませんが、私達に仇なすと判断した場合は依頼に関係無く処理しています。私の他にも戦闘要員が居りますので、明日になれば紹介しますね。此処までで質問はありますか?」
淡々と業務的に説明を終えた菊はギルベルトを見上げて質問を尋ねる。ようやく落ち着きを取り戻したギルベルトは質問?と頭で考え、疑問に思った事を尋ねた。
「300年間此処で住んでるんだよな?フェリシアーノちゃん達は300歳にも満たねえだろ?その前のボスはどうしたんだよ?」
「先代はロヴィーノ君達のお爺様にあたります。彼は純血の吸血鬼でしたが、娘を助ける為に血の契約に違反し、消滅してしまいました。その娘はロヴィーノ君達のお母様にあたります。彼女は人間と恋に落ち結婚しました。子供を成し産みましたが、不慮の事故で夫が命を落とし、夫の家族が魔女によって殺されたのだ。と主張したのです。丁度この土地に居を構えて20年。彼女がロヴィーノ君達を産んで僅か1年程だったでしょうか。今から280年前に人間達の手によって、彼女は魔女狩りにあい、そのまま消滅しました。吸血鬼は悪魔や天使と違って条件が揃えば簡単に命を落とします」
そっと目を伏せた菊にギルベルトは眉間の皺を刻み、更に質問を重ねた。
「じゃあよ、その先代が違反した事って何だよ?」
「先代は娘を助ける為に、魔女裁判が行われていた会場に乗り込みましたが、娘は一足遅く火刑に処されて灰になった後でした。先代は怒り狂いその場に居た人間を無差別に皆殺しとしたのです。血の契約には〈無差別に人間を殺す可からず〉と有ります。それに違反し翌朝には灰となりました」
「…なんでこの街で人間を守るみてえな事をしてんだ?人間が憎くねえのかよ?」
昔の話とは言え、母親と祖父を奪われたのだ。憎く無い筈が無い。
「勿論憎いですよ?しかし彼等は、ロヴィーノ君とフェリシアーノ君には暖かな人間の心がありました。全ての人間が悪い訳では無い。共に共存したい。そう願ったのです」
「聖人君子の様だな。甘過ぎだろ?俺だったら無理」
「天界に属していた貴方がそれを言いますか。…確かに彼等の思想は甘いですね。ですが、ボスが望むならば私は尽力するのみです」
思わず溜め息が出た。自分の仕えるボスはとんだ聖人君子だと。
「ん?だとしたらよ、フェリシアーノちゃん達の育ての親って誰になんだ?」
母親が280年前に消滅したのならば、彼等はまだほんの赤ん坊だった筈だ。
「彼等を育てたのは私ですよ。今では良い子に育ってくれて嬉しいですねぇ」
頬に手を当てて、嬉しそうに笑う菊は昔を思い出したかの様にニコニコとしている。
「マジか…。そういや、お前は先代からずっと仕えてんだよな」
「ええ。もう300年になりましたか。早いですね」
「お前は何でヴァルガスと血の契約をしたんだよ?」
それまでニコニコとしていたキクがピタッと笑みを止めた。
「…あまり深入りしない方が良いですよ?秘密の1つや2つ持っている方が魅力的だと言うでしょ?」
どうやら教える気は無い様だ。もしかするとこれ以上は菊にとっての地雷なのかもしれない。
「そうかよ。根掘り葉掘り聞いたりしねえ」
手を振って聞くつもりが無いとアピールすると、菊は「それが宜しいです」とまた顔に笑みを浮かべた。
「では、説明は以上です。ギルベルト君のスーツは今日の夜にはクローゼットに準備しておきますので、明日の朝着てください。起床は5時です。5時15分には1階のリビングに降りて来てください。業務は明日からです。今日は荷物の整理などをしてください」
それだけ言うと菊は部屋を出て行った。


ギルベルトは昨日の事を思い出しながら朝食の下拵えとしてトマトやジャガイモなどのカットを行う。
「ギルちゃん、鍋にその具材を入れて味付けよろしく!」
そこに声が掛かった。焼きたてのパンをオーブンから取り出している金髪ウェーブにアメジストの瞳。女が好みそうな美丈夫フランシスだ。顎髭が特徴的なヴァルガスファミリーのシェフ兼戦闘要員である。初対面から馴れ馴れしく接するフランシスにギルベルトは及び腰だったが、ウマが合うのかすぐに馴染んだ。
「鍋な。わーったよ」
しかし、ファミリーとなって最初の仕事がトマトとジャガイモのカットだとは思わなかった。戦闘要員として暴れるのだとばかり思っていただけに、拍子抜けしたのだ。
しかも、調理をするなど、食事を必要としないギルベルトにとって美味しい、美味しく無いはわからない為、味付けの仕方も分からない。フランシスから調味料の分量を徹底的に教え込まれ匙に分量通りの塩を計って鍋に入れた。
フェリシアーノとロヴィーノは兎に角味付けに煩いらしい。
フランシスは焼きたてのパンをバスケットに入れて食卓テーブルに運ぶと、菊を呼ぶ。影のようにスッと現れた菊はフランシスと二、三言葉を交わすと食器などを運び朝食の準備を整えた。
流石は悪魔と言うべきか、その動きは残像を残す様に早い。あっちに居たと思えば瞬く間に今度はこっちに居たりとよく動く。
準備がひと段落すると、今度はボス達を起こす為にボスの寝室へと向かう。
今後はギルベルトにもこの役割が割り振られる為、菊に呼び寄せられて後を追う。しっかりと部屋の位置を把握しておく様に言われ、頭の中に屋敷の地図を作成していく。
ギルベルトは菊の補佐が主な仕事となるが、今はまだ見習い中である為一人前になるまでは菊と常に行動を共にし、業務内容を頭に叩き込む。
両開きの大きな扉を菊が軽くノックするが、中からは返答が無い。
「まあ、何時もの事ですがね」
「いつもかよ?じゃあ何でノックしたんだ?」
何時もの事ならばノックする必要があったのか?と疑問を零した。
「何言ってんです?ノックするのは当たり前です。マナーですよ?そのまま部屋に入るなんて野蛮です。ノックする事をちゃんと覚えてくださいね」
はあ?と片眉を上げて言う菊の表情が馬鹿にしている。このジジィ…!と胸中で罵倒しておく。一応上司だ。殴ったりはしない。今のところは。
重厚な扉を開けて菊が中に入る。後を追ってギルベルトも中に入ると、其処には煌びやかな装飾が施された広い部屋に大きなクィーンサイズのベッドがあった。そのベッドには塊が2人分。
菊が遠慮無くシーツを剥ぐと、其処には全裸で眠るロヴィーノとフェリシアーノが居た。
「ブフッ!?ちょっと待て!何で全裸なんだよ!?マジか!すげえな!おい!俺様恥ずかしいぜー!!」
顔を覆い隠した指の隙間から、ちゃっかり目に焼き付けて興奮気味のギルベルトに菊から冷たい視線が向けられた。
「煩いですよ?彼等は全裸で就寝するのが当たり前なんです。妙な妄想で彼等を穢す事は許しません。このドすけべ」
「わ、悪りぃ」
絶対零度の微笑みとは菊の今の表情を言うのだろう。即座に謝っておいた。
「ロヴィーノ君、フェリシアーノ君、朝ですよ?起きてください」
菊の声にモゾモゾと動き出した2人は、目を擦りながら上体を起こした。
「んぅ〜、はよぉ、菊ぅ」
「…ふぁ〜。もう朝かよ、早えな」
「はい、おはようございます。本日も朝食を食べて教会でお仕事ですよ」
にこやかに挨拶を述べると、フェリシアーノの着替えを手に肩に乗せてやる。ギルベルトも菊に倣いロヴィーノの肩にシャツをかける。
「……ん…ん?だ、誰だてめぇ!?コノヤロー!!」
突然ロヴィーノは驚いた様にギルベルトを見上げて睨む。その声にフェリシアーノがヴェ!?と鳴き菊に抱きついた。
「は?いや、昨日の事覚えてねえのかよ?」
「ロヴィーノ君、昨日彼と血の契約をしたでしょう?今日から私の補佐にと命じたのはロヴィーノ君ですよ?」
微笑みながら菊がロヴィーノに説明すると、フェリシアーノが「なーんだ!良かった!」と菊から離れてシャツのボタンをとめていく。
「へ、あ、そうだった…。紛らわしいんだよ!このハゲが!」
紛らわしいと言われてもギルベルトにはどうしようもない。理不尽だ。しかもハゲてない。と肩を落としながらも、スラックスをロヴィーノに渡す。

兄弟の身支度が整うと、食堂へと向かった。
食堂の長テーブルには4人分の食事が用意されていた。席には金髪眼鏡の青年とシェフのフランシスが座って待っていた。
「やあ!君が新人のギルベルトだね!よろしくなんだゾ!俺はアルフレッドさ!此処で庭師をしてるんだゾ!」
眼鏡の青年はギルベルトに歩み寄ると握手を求めてきた。人懐こい笑みを浮かべるアルフレッドにギルベルトもニッと笑みを浮かべて握手に応じた。
「よろしくな!ギルベルトだ」
席に着いた4人を眺めながら、壁際に静かに立つ菊の隣に並ぶ。
悪魔と堕天使は食事の必要が無い。悪魔である菊はいつも壁際に立っているそうだ。
「あと紹介していないのは、アントーニョさんだけですね」
「アントーニョ?そいつの役割は?」
「彼はアルフレッドさんと同じ庭師です。庭は広いですからね。元々園芸に詳しい方でして庭をお任せしています。アルフレッドさんは彼の補佐で、主に力仕事をしています」
無表情で長テーブルを見つめながら菊は説明をしていく。ギルベルトも視線は長テーブルに向けているが、耳は菊の一言一言に集中している。
「ところでよ、全員戦闘要員なんだろ?他の奴らは何の種族なんだ?」
「ロヴィーノ君とフェリシアーノ君は戦闘しませんよ?戦闘要員は貴方を含めて5人ですね。まずフランシスさん、彼はサラマンダ、火を取り扱う事には長けていますよ。アルフレッドさんはウェアウルフ、足が速く、力も強いです。アントーニョさんは私と同じ悪魔です」
「げっ、もう1人悪魔が居んのかよ?」
菊と同じ様な悪魔がもう1人居るなど、先が思いやられる。
「何です?失礼ですね。アントーニョさんは私と違って、とても友好的な方ですよ」
「その言い方じゃあお前は友好的じゃ無えみてえだな」
「事実ですから」
菊は口を開かなければ可愛いし、言葉遣いも丁寧だ。十分友好的だと思うが本人は否定する。これ以上の会話は不要だとばかりに、菊は目を閉じて押し黙った。
横目に菊を見下ろして、また長テーブルへと視線を戻す。
視線の先では4人が穏やかに朝食を食べていた。
スポンサードリンク


この広告は一定期間更新がない場合に表示されます。
コンテンツの更新が行われると非表示に戻ります。
また、プレミアムユーザーになると常に非表示になります。