人間ギル×猫の獣人菊
R18腐向け


照明を絞った薄暗い店内。
黒を基調とした大理石の壁や床に汚れや埃は見当たらない。鏡の様に此方を反射する程に磨かれていた。
店の中央に位置するショーケースの中には羽根を装飾した物や宝石が嵌め込まれた仮面がある。どれも高価な物であると初見の人間でも分かる程に美しかった。
此処は仮面専門店。
その仮面屋の店主である男は黒髪の短髪に夕焼け色の瞳を持つ、背の高い美丈夫だった。
白い肌に金の混じる淡い銀髪。淡い色合いを持つ男に黒いワイシャツがマッチしていた。
高い鼻筋はスッと通った綺麗な形で唇は薄い。切れ長な目の奥に朝焼け色の瞳がキラキラと光る。
その男は店の外を眺めながら、手に持っていた扇子を手の中でクルクルと弄ぶ。
窓の外は風が吹いて寒そうだ。曇り空からはチラチラと白い雪が降り出した。
店の前を歩く婦人は寒そうにマフラーと厚手のコートに覆われ、爬虫類独特の瞳で目を眇めて歩いている。婦人は蛇の獣化だった様だ。

この街には人外が溢れている。
人間も居れば、獣化した人間も居るし、機械化した者も居る。
この男ーー、ギルベルトは人間だ。
人間の割合が5割、獣化が3割、機械化が2割ぐらいといった所だろうか。
ギルベルトが歩道の向こうに、小柄な存在を見つける。向けていた眼差しを嬉しそうに眇めると、踵を返してシンプルなカウンターに陣取った。
扇子で顎を叩きながら、玄関が開くのをジッと待つ。
2分…5分と経過する頃、漸く来客を知らせるドアベルが鳴り響いた。
その音に、ギルベルトは扇子で覆い隠した口元を緩める。
「…郵便です。書き留めですので、サインを」
郵便局の黒いコートと赤い斜めがけ鞄という出で立ちの少年…いや青年が郵便物を手に無表情でカウンター前に歩み寄って来た。
郵便屋の髪色は艶やかな漆黒でサラサラと流れる。瞳は大きく琥珀色。だが
その瞳は光の加減で金色にも見えた。
一見女にも見える程可愛らしい顔立ち。
身長はギルベルトの肩ぐらいはあるだろうか。
その丸く小さな頭には溶けきらない雪の結晶が張り付き、2つの黒い耳がピンと立っていた。(本人曰く、帽子を被ると耳が聞こえないそうだ)
この青年は猫へと獣化した人間だった。
お尻には艶やかな黒い尻尾があるが、今はコートの下に隠れて見えない。
ギルベルトはカウンターの引き出しから万年筆を取り出すと、郵便屋ーー菊の手から郵便物を受け取った。
「寒いのにご苦労だったな。ちょっと温まって行けよ」
ギルベルトの労いの言葉に菊は眉を寄せてツンとそっぽを向く。
「…寒くとも、仕事ですから」
内心可愛くないとも思うが、この高飛車な性格を捩じ伏せてやりたいとも思う。
野良猫を手懐けて家猫にさせるのも一興。
ギルベルトは短い返答に小さく笑うと、サラサラとサインをする。
「ま、そう言うなよ。此処で配達も終わりだろ?美味いクーヘンがある。食ってけ。局にも直帰するって連絡しとけよ。ゆっくり味わいたいだろ?」
美味いと告げた瞬間、菊の黒い耳がピクピクと反応した。
この半年で分かった事だが、菊は〈美味い〉や〈珍しい〉と言う単語に敏感だ。
そして食べる事に目が無い。
「…そ、そこまで仰るなら、食べてあげます。あとコーヒーも出してください」
クーヘンだけでなく、コーヒーまで催促され、ギルベルトは思わず吹き出した。
ギルベルトはコーヒーを淹れるのに拘る。
ミルでコーヒー豆を挽く所から始める為、多少の時間がかかるのだ。
それだけコーヒーが美味しいのか、ギルベルトとの時間を過ごしたいのか。
後者なら嬉しい。
「ブッ…!ハハハッ!催促しなくても、最初からそのつもりだ。安心しろよ食いしん坊ちゃん」
菊は頬を更に赤く染めてギルベルトを睨んだ。
「~ッ煩いです!!」
「悪かった、怒んなって。ほら、奥に来い。コーヒーもクーヘンもご馳走してやる」
「…ご馳走になってあげます」
頬を膨らませた菊に目を弛ませてギルベルトは奥にある居住スペースへと不機嫌な猫を誘った。



ギルベルトに誘われ、菊はギルベルトの居住スペースであるリビングでコーヒーとクーヘンが運ばれて来るのを待っていた。
リビングは店とは反対に白を基調とした壁や床そして天井。家具は必要最低限置かれ、とても広い清潔感溢れる空間だった。
キッチンスペースから漂う焙煎されたコーヒーの芳香。
菊は鼻をヒクリとさせて、耳をキッチンスペースに固定していた。
ギルベルトのコーヒーは美味しい。
此処で始めてコーヒーをご馳走してもらったのは、晴れた空から突然冷たい雨が降った日だった。
びしょ濡れになった菊に驚き、ギルベルトは帰ろうとする菊の腕を引っ張りこの居住スペースでタオルと温かいコーヒーを振る舞ってくれた。
それ以来、ギルベルトは菊の事を構う様になり、コーヒーを淹れるのが通例となったのだ。
菊も最初は戸惑ったが、ギルベルトの温かい眼差しと明るい笑顔に絆され、ギルベルトの所に来る時は郵便配達の最後にしている。「だってコーヒーが飲めますもの」と自分に言い聞かせていたが、実際はこの区域の担当を他の者に譲るのが酷く嫌だった。此処に配達するのを密かな楽しみにしていたのだ。
口が裂けてもギルベルトに仄かな淡い想いを気取られたく無くて、生意気な態度を取ってしまう。
あの朝焼け色の瞳が嫌悪感で染まるのが怖かった。
拗れ始めた片想いを胸に、今日も配達の最後にギルベルトの元を訪れ、こうしてコーヒーをご馳走になる。今はそれだけで十分幸せだと思える。
靴音が聞こえて来ると、菊は緩みそうになる表情を引き締めて自分の爪先を弄りながら目を伏せた。
「よ!待たせたか?美味いコーヒーと俺様特製の美味いクーヘンだぜ!ちゃんと味わえよ!」
カタリと軽い音を立てて目の前に置かれたのは湯気の上がる白いカップのコーヒーとリンゴが薄くスライスされた物が乗ったキツネ色のクーヘン。
「リンゴ?」
初めて目にしたリンゴの乗ったクーヘンに目を丸くする。
「これはアプフェルクーヘン。中に砕いた胡桃とレーズンが入ってる。美味いぞ」
シナモンが掛かって、味気ない単色のクーヘンだが、ギルベルトが美味しいと言うのなら味も期待出来る。
フォークで小さく切り取り口に運ぶと、シナモンとレーズン、リンゴ、胡桃、クーヘンの程良い甘さと風味が口の中で優しく同調した。
「!…美味しい、です」
ピンと立った耳と大きく見開いた瞳は感動からか幸せそうにも見えた。
ギルベルトは隣の椅子に腰掛けると、テーブルに肘をつき、菊の表情を眺める。
隣り合って、ギルベルトが菊の顔を覗き見るのが当たり前の光景になり、そのむず痒い眼差しと空間に菊は未だに慣れない。
抗議をしてもギルベルトは意に介さずニヨニヨとしているだけだ。美味しいコーヒーを振る舞ってもらっているのだからと、内心納得しないながらにも折れる他無かった。
「そっか。美味いか。次はモーンシュニッテ作ってやる」
「もーんしゅにって?」
「そう。モーンシュニッテはケシの実の天板ケーキだ。四角くカットすんだぜ」
それは楽しみだと胸中で喜び口では「そうですか」と素気無く答えた。
そんな態度に気分を害した様子も無く、ギルベルトは嬉しそうに笑みを浮かべる。
ギルベルトの目にはコートを脱いだ菊の黒い尻尾がピンと伸びているのが見える。
猫は大好きだとアピールする時に尻尾をピンと立てて擦り寄る習性があるが、獣化した菊にもその習性が見て取れる。
表情は無表情なのに、尻尾と耳は明確に感情を伝えてくるのだ。そのアベコベ具合がギルベルトには堪らない。
コーヒーを口に含み、隣で目を輝かせながらクーヘンを頬張り、コーヒーを飲む菊に自然と笑みが溢れる。

『嗚呼、どうしてやろう…』

仄暗い欲に笑み、ギルベルトはポケットの中で液体の入った瓶を弄んだ。




クーヘンを食べ終えコーヒーを飲み干して一息吐いた時、ギルベルトが徐にズボンのポケットから掌より少し小さめの瓶を取り出した。
「?…何ですかそれ?」
頭を傾げる菊にギルベルトはニヨリと笑んだ。
「何だと思う?ヒントは…そうだな。菊の好きな物」
楽しそうに謎かけの様に話すギルベルトに菊の眉は思考する様に寄る。
「…?私の好きな物…、塩鮭?塩?…それは美味しい液状の塩ですか?」
至極真面目な顔で答えた菊に思わず吹き出しそうになるのを何とか耐える。
「ッ、…海水かよ?液状の塩なんかあんま聞いた事無えな」
じゃあ何だと菊は更に思考に耽る。
「んじゃ、嗅いでみろ」
ギルベルトが瓶のコルクをポンと抜き去ると菊の鼻先に瓶の口を向ける。
「…ッ!?」
その瞬間、菊の目は驚愕に見開かれて鼻と口元を掌で覆い隠した。
みるみるうちに菊の頬は真っ赤に染まっていく。掌から漏れ出た息は荒い。
「お?分かったのか?」
フリフリと菊の目の前で瓶を振る。
思わず立ち上がった菊は、ふらりと蹌踉めき椅子をなぎ倒して、その場に膝から崩れ落ちた。
床に手を付き、荒くなる呼吸を必死に整える。
「は、…くっ」
歪む視界にギルベルトの靴先が見えた。
「きーく。どうした?辛いのか?」
ギルベルトがしゃがみ込むと菊の肩はビクリと跳ねる。
菊の尻尾は不快を伝えるかの様に左右に揺れていた。
ギルベルトの大きな指先が菊の顎を捕えて、上向かせるとその顔をマジマジと覗き込む。
「ふーん。俺様には匂いとか分かんねえけど、中々効いてるみてぇだな」
まるで実験でもしていたかの様なギルベルトの言葉に酷く傷付いた自分が居る。そんな自分自身を覆い隠して、ギリギリとギルベルトの朝焼け色を睨み上げた。
「…ッ、なん、で!」
「ん?あー、コレか?マタタビ。しかも10倍濃度の強いヤツな」
何でも無い様に笑うギルベルトとは反対に菊の表情は一気に強張った。
「今朝届いたんだ。猫に効き過ぎるマタタビくれって言ったら、喜んで提供してくれたヤツが居てよ。今説明書き読むからちょっと黙ってような?」
ギルベルトはニコリと綺麗に微笑むと、身体の自由が効かない菊を軽々と抱き上げてリビングのソファに腰掛ける。膝の上には向かい合う様に菊を座らせて、その震える背中を優しく撫でた。
「えーっと、何々…マタタビに含まれている揮発性のマタタビラクトンという成分が猫の大脳をマヒさせ、眠気を引き起こし、運動中枢やせき髄などの反射機能を鈍らせることで起こります。謂わば人間にとっての麻薬のような物です」
ふーん。とギルベルトは説明書きを見ながら一人納得する。
「そんで…、ネコの上顎にあるヤコブソン器官(鋤鼻器官)がマタタビラクトン類などに反応し、その信号が脳に伝わるのは確かなようです。なお、ヤコブソン器官は、一般的な匂いを感じる器官ではなく、フェロモン用物質を認識する器官です。…成る程な。そりゃ俺様に分かる訳無えよな」
なあ?と同意を求める様にギルベルトの手は菊の後頭部を撫でる。
菊の黒い耳はサイドに垂れ下がり、息が弾んで苦しそうだ。
じわじわと肩に当たる体温が上昇していくのが分かる。
「なんだ苦しいのか?…あ、服?気付くの遅かったぜ!悪りぃな?」
優しい声音なのに、吐かれる言葉は妖しさを纏う。
ギルベルトの手が菊のスラックスからベルトを抜き去り、ホックを外す。その間、菊は朦朧とした意識で抵抗の体制を取ろうにも自由が効かないでいた。
そのうちギルベルトの手は菊のシャツにかかり、手際良く衣服を脱がせていく。
フーッと威嚇をしてもギルベルトは優しく笑うだけだ。
ダラリとした身体をギルベルトに預けたままの体制で、菊はとうとう産まれたままの姿になる。
菊はなけなしの力を振り絞り、フーッと今度は強く威嚇すれば、尻尾がブワリと太くなった。
ギルベルトはキョトンたした後「まだ野良かよ…」と小さく舌打ちする。
ポケットに入れていた瓶を取り出すとコルクを歯で開けて、中身を口に含んだ。
その光景に菊が驚き、逃げの体制を取れば大きな掌に後頭部を鷲掴みにされて、口を塞がれる。
ソファから崩れ落ちたのに、身体の痛みよりもマタタビの芳醇な香りにクラクラと感覚が麻痺する。
「ーーッ!?んーッ!…ッん、んぅ」
大きく瞳が見開かれると、忽ち濃厚なマタタビの匂いに目がトロンとなった。
ラグの上に組み敷き、緩んだ唇をこじ開けて、ギルベルトは口内に含んだ液体を菊の口内に流し込む。
口端から流れ出た液体は流れ落ちて筋を作る。
ジッと顎を上向かせた状態でいれば、コクリコクリと喉仏が上下に動き、飲み込んだ事を伝えてくる。
ギルベルトは唇を離し熱い息を零しながらも悦越とした表情を見下ろした。
トロトロした琥珀色の瞳は物欲しげに緩み、口端からは液体なのか涎なのか分からないものが垂れ、頬はリンゴの様に真っ赤だ。
徐々に視線を下半身へと向ければ、ピクピクと震えながらも菊のぺニスが勃起していた。
「…は、すっげぇエロイなお前」
その扇情的な光景にギルベルトの喉は無意識に鳴る。己の下半身に集まり出した熱量が増して、パンツ越しに勃起しているのが見て取れる。
「…なあ?菊。欲しいだろ?従順に強請ってみろよ?」
菊の太腿を撫でてみれば、ピクッと身体が反応していた。そして、その肌は驚くほどにハリがあり、掌に吸い付く程瑞々しかった。
「…は、んッ…、だ、れが…ッ」
蕩けきっていたと思っていた瞳に反抗的な意思が灯る。
「…そうかよ」
ギルベルトは大きく嘆息すると、徐に菊の勃起したぺニスを掴み、上下に扱きだす。
「!?ひっ、ンンッ…!…は!」
抵抗しようと伸ばして来る手は、恐ろしいまでの快楽に飲まれ、ギルベルトの掌に手を添える形になった。
「はは、きーく。気持ちイイか?」
「ンッ…は、ヤッ…ァアッ!ん…!」
引き攣る嬌声にギルベルトは嗤う。
ぺニスを扱きながら、もう片方の手で睾丸を揉み解す。すると菊の声量が増し、ぺニスの先からは透明な液が垂れ出した。
流れ出た先走り汁は、ギルベルトの手に絡まり、クチュクチュと淫猥な水音を上げた。
「下からも泣いてんのかよ?可愛いな?」
「ーーッンゥ!!…ッ!」
喉の奥でクツリと笑うギルベルトに、菊は目を眇めて快楽の波に堪える。
此処までグズグズになろうとも、まだ反抗的な眼差しをする菊の意思は強い。いや、プライドが高いとも言える。
このプライドの高い猫を捩じ伏せて、屈服させたい。ギルベルトの欲は頭を擡げる。
ギルベルトはぺニスを口に含むと、長い舌を使い、強弱をつけながら裏筋を舐め回す。睾丸を揉む手はグリグリと強さを増した。
「ンッ!?…ンッ、ァアッ!も、やめっ!…ふ、ァアア!ンン、は、ンッンッ!!」
びくりと震えたぺニスに気付くと、ギルベルトは口を離して、根元を強く握り込んだ。途端に菊から批難する様な嬌声が聞こえる。
フーッフーッと物足りない欲に菊はギルベルトを睨む。
「勝手にイケると思うな。イキてぇならちゃんとお強請りしてみろよ」
濃い赤の瞳が仄暗く見えた。



濃密な空気に、篭った熱気。
汗ばむ艶かしい肢体を節張った大きな白い手が優しく撫で上げる。
「んぅ!…は、ぁ」
思わず漏れ出た吐息。
「んー?どしたー?」
剥き出しの肌を撫でながら、ギルベルトは含み笑いで悶える菊を見下ろした。
柔らかいラグの上で全裸の菊が艶かしげに体を攀じる。
ピンとしていた三角の耳はサイドに垂れ下がり、琥珀色の瞳は涙で潤んで光る。頬を真っ赤に染めて、唇を引き結ぶ表情はギルベルトの欲を存分に煽った。
「ほら、欲しかったら強請ってみろよ?」
「…ぅ、いや!」
不快だと眉を寄せて睨む菊の瞳から一筋の涙が流れ落ちる。
「強情な猫ちゃんだぜー」
ちぇっちぇー。と唇を尖らせるギルベルトは菊のぺニスに手を伸ばすと、また刺激を与える様に扱き始める。
「んぅ!…も、…は、はず、して!!」
「やーだね!」
菊が外せと懇願するモノは菊のぺニスの根元を縛り上げる赤いリボンだ。それはプレゼント包装用のリボンで、ギルベルトがラッピングの練習用にリビングに置いてあったモノだ。
ぺニスの先端からはトロトロと先走り汁が垂れて苦しそうにしている。
その先端をギルベルトの長い舌がベロリと舐めた。
「ンァああっ!やだ!…ンッ!は、ん!」
「ヤダじゃ無えだろ?お強請りしねえといかせねぇ」
菊の足を折り曲げてM字開脚にさせる。碌に力の入らない菊はされるがままだ。
「ンッにゃ…っ、やだ、ぅ、は…!」
恥ずかしい体位に身を攀じるも、足を掴まれて身動ぎ出来ない。
「コッチの穴も小せえなぁ…」
ギルベルトは文句を言う様に呟けば、ソファの下部が収納スペースになっている引き出しからオイルを取り出した。
オイルを片手でパチンと開けると、菊の睾丸からぶっ掛ける。
「!?ンッ!?冷たッ!んぁあ!」
その冷たさに菊の身体が跳ね、ぺニスはビクンッと震えた。
「おー、悪りぃな。ちょっと我慢、な?」
そう言うとギルベルトは長い指を菊の穴に突き入れた。
「!?ンッは、ァアッ!…ンッ!」
「ジッとしてろよ。痛く無え様に広げてやっから」
クチュクチャと水音を響かせてギルベルトの指はオイルでテラテラと光る。
長い指は一際奥に伸び、バラバラと暴れ出せば、菊の体もピクピクと震えた。
濃度の高いマタタビの所為か、力が入らない。肛門の筋肉は緩みっぱなしで、ギルベルトの指をあっという間に3本飲み込んだ。
「ふ、ンッ…!…ァアッ!!」
バラバラ暴れる指先は奥まった一点を掠めた瞬間、菊の身体がビクリと跳ね、嬌声は大きくなる。
「お?…此処か」
探る様にギルベルトの指がまた同じ箇所を掠めると、菊は堪らず「…!、ンッニャアッ!?」と啼いた。
その啼き声にギルベルトは笑みを浮かべる。
「みーっけた!お前のイイ所」
明るい声を上げるギルベルトに菊は懇願する様に涙で潤んだ瞳を向けた。
「ん?どうした?」
「…ッ、な、何でも、無いです…ッ!」
フイと顔を逸らす菊にギルベルトは内心であと少しだとほくそ笑んだ。
「そーかよ」
指の動きを再開させて、ぺニスも咥え込む。
「ン!…両方…ッ!やめっ!…あぅ!?」
ジュルジュルと音を鳴らし、ペニスの先を吸い上げると、菊は涙を流す。
肛門はギルベルトの指を4本咥える程に広がり、グズグズに蕩けていた。
先程見つけたポイントを意地悪く何度も強めに擦れば、菊はイヤイヤと頭を左右に振り乱す。
耳はペタリと垂れて、足の指先は大きく開いたり強く握り込んだりと悶えている。
「ほは、ねひゃへほ(ほら、ねだれよ)」
ペニスを咥えたままに、ギルベルトが喋れば、菊は「ァアアアッ」と甲高い声を上げ仰け反る。
何度も達する機会を逃すペニスは痛そうに勃起し、睾丸は可哀想な程にパンパンに膨れていた。
流石にマタタビの影響もあり、限界を突破した様だ。
「ふっ…も、イかせて…ッ!…お願い…!ぅうっ…!」
等々泣き出した菊はギルベルトの思惑通りに堕ちた。
「へぇ?…ちゃんとお強請り出来たらイかせてやるよ」
穴から指を引き抜き、菊の顔を覗き込む様に覆い被さる。
「…ッ、お願い…します」
「ん?そりゃお強請りかよ?」
ギルベルトは膝で菊の股間をグリグリと刺激すると、菊の身体は面白い程に跳ねた。
「アッ!ンッ!…ごめ、なさい!!ギル、さん…の!ンッ!」
「俺様の?ナニ??どこをどうされてぇんだ?ちゃんと言わねえとこのまんまな?」
グリグリと強弱をつけた膝の刺激に菊は切なげに眉を下げる。
「ン!…ギルッ、さんの!…おっきな…んぅッ、ペニス…で、私のっ、アナル、をッ、犯してッ…!!」
ギルベルトは膝の動きを止めると、ニヨリと笑みを浮かべる。
「うーわ。今のえっちぃな!お強請り上手じゃねぇか」
チュッと音を立てて菊の額にキスすると、ギルベルトは菊の身体をひっくり返して四つん這いにさせる。
ベルトのバックルを外し、痛い程に勃起したぺニスを取り出せば先走り汁でテラテラ光っている。
そして、力の入らない菊の腕は体重を支えることも無く、ペタリとラグの上に張り付いた。
腰を支えるギルベルトのおかげで、膝をつく事は出来たが、お尻を高く突き上げる格好となる。
「ほら、ご褒美だぜ」
オイルを自分のペニスに塗り付けて、穴に先端を擦り付ければ、ピンク色の穴はひくりと蠢く。
小さく息を吐き出し、ギルベルトは穴の中へとペニスを収める。
「ンッ!ふ、…んん!は…ん!」
「…は、…くっ」
力の入らない菊の穴はゆるゆるとギルベルトを受け入れて、カリを上手に咥え込んだ。
「んんんッ!…は、ァアッ!」
「ん、上手だったな…」
ギルベルトは労わる様に菊の腰を支えると、ズチュッと音を立てながらペニスの根元まで嵌め込んだ。
「ふ、にゃあっ!!んんん!!」
刺激に揺れる菊の肢体は、上から見下ろせば恐ろしい程に美しかった。
筋肉の薄い背中は余分な脂肪も見当たらない。かと言って筋肉質でもなければ、ガリガリでも無い。程よい筋肉量に、きめ細かい肌、緩やかな背筋に、浮き出る肩甲骨。仙骨から伸びるしなやかな黒い尻尾は、ギルベルトの腰に巻き付いてきて離すまいと訴えている様だ。
「…ッ、堪んねえな!マジで!」
ギルベルトは湧き上がる歓喜の声を抑え込み、菊の穴奥を突き始めた。
ーーズチュッ!グチュッ!
オイルと先走り汁が混ざり合って、音が鳴る。
ギルベルトは思い出した様に菊のペニスに手を伸ばすと、やわやわと扱き始める。
「んにゃ!?ッ…ふ、にゃ、ァアッ!!」
ギルベルトが腰を打ち付ければ、肌と肌がぶつかり、パンパンと乾いた音に汗の湿り気が混ざる。
そのうちその音は、パチュッ!パチュッ!と粘着質な音を奏で出した。
「は、菊、気持ちイイか…ッ」
「ンァッ!き、気持ち、イイッ!ぁ、アッ!アッ!アッ…!ギルッ、の大っきく、て!!すご、いッ!!ふにゃあっ!!!」
大きく揺さぶられる菊に、理性など無い。その台詞に煽られて、ギルベルトは一層ペニスが膨張するのを感じた。
「は、!こ、の!淫乱!がッ!!…ッ抱き、潰してやるッ!!!」
ゴツゴツと最奥を突き、より深くなると腹の中が圧迫された。それでも気持ちイイと菊の意識を単色に塗り替えてしまう。
「んにゃッァアッ!!…抱き、潰してぇッ!!…ンッ!ふぁあっ!?」
理性が無くなると、素直な気持ちを零す。
それが嬉しくて堪らないとばかりに、ギルベルトは最奥を何度も突き上げる。
「ギルッ!…ンッ!イキ、たい!!ンッァアッ!!」
「ッ、分かって、る!!」
ギルベルトは菊のペニスの根元を縛っていたリボンを取り外してやる。
リボンを乱雑に投げ捨てると、菊の腰を掴み一心不乱に貪る。
ーーパチュッパチュッパチュッ!
「ひ、ァアッ!イ、ク!!ンッニャァアアアッ!!!」
「は、…ッン」
ズンと強く突き上げれば、菊の身体はビクビクッと震えて達する。同時にギルベルトのペニスは腸壁に圧迫され、大量の白濁を菊の最奥に吐き出した。
数回腰を揺らして白濁を注ぎ切ると、ギルベルトは意識を失った菊を背後から抱き締めた。
「はぁ…、やべ。すげえ良かった…」
コロンと転がる空瓶を見遣り、フウと息を吐く。
腕の中の愛おしい猫の耳にキスをすれば、力無くヒクと動く。
「苛めすぎたか?悪りぃな」
ギルベルトは菊を軽々と抱き上げると、奥にあるシャワールームに向かった。



ふかふかと自身を包み込む少し重い温もりに心地良く目を覚ます。
辺りを見渡し、隣にギルベルトの美しい顔がある事に気付くと、ピャッと目を丸くした。
そのギルベルトの逞しい腕は菊を抱き込み、快眠している。
菊はまじまじとギルベルトの顔を見つめて『やっぱり夢じゃなかった』と安堵にも似た気持ちを抱いた。
あの恋い焦がれていたギルベルトに抱かれたのだ。
秘匿する事を選んだ恋だったのに、ギルベルトはあっさりと菊を手繰り寄せて絆した。その遣り方は強引ではあったが…。
目の前に広がるギルベルトの鎖骨に頬を寄せてみる。
『…温かいです』
ホッとする温かさと幸福感が綯い交ぜに訪れた。
「…擽ってえ。何可愛い事してんだ?」
寝ていたと思っていたギルベルトは口元に笑みを浮かべて、ゆっくりと朝焼け色の瞳を開いた。
「!、起きてたんですか?」
赤くなる頬を隠す様にギルベルトの胸板に額をグリグリと押し付ければ、ギュッとギルベルトの逞しい腕の中に抱き込まれた。
「可愛い恋人が起きたなら、俺様も起きるってもんだ。まだ深夜だろ?もう少し寝ろ」
ギルベルトの、トク、トクとリズム良く鳴る心音に目を伏せる。
「…ギルさん、好き…です」
「!、ケセセ!俺様はもっと好き!」
菊は途端にパッと顔を上げると、ギルベルトの薄い唇にチュッと可愛らしいキスをした。
突然の事に目を丸くしていたギルベルトは直ぐに破顔して笑う。
「私はもっともっとです!」
「そうかよ!ほら、明日も仕事なんだろ?もう寝ろ」
ギルベルトは優しく目を細めると、頬を膨らませた菊を布団の中に招き入れて、瞼にキスをする。

「おやすみ、俺の猫ちゃん」



fin

仮面屋×郵便配達員
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